Home研究紹介環境浄化技術

環境浄化技術

●微粉炭燃焼プロセスにおける水銀の挙動

1-1

燃焼プロセス内での水銀分配挙動

1-2

未燃分とEP温度で粒子Hg濃度は異なる

1-3

固体原子吸光法で粒径別水銀濃度を測定

1-4

Hgのほとんどは,残炭素(未燃分)にいる

背景と目的

 石炭には0.01-0.15 mg/kg程度の微量の水銀が含まれており,微粉炭火力発電プロセス内において次のような挙動を示すと理解されている.すなわち,石炭中水銀はボイラ内の燃焼場で気相に放出され,高温場では元素水銀(Hg0)として存在する.その後,Hg0の一部が二価水銀(Hg2+)に酸化されたり,または粒子に吸着し粒子水銀(Hgp)となる.ここで,Hg2+は主に水溶性のHgCl2であり,湿式脱硫装置内で吸収液に溶解するため,排煙として大気に放出される水銀の形態は主にHg0である.
 わが国の微粉炭火力発電プロセスでは,集塵効率を高めかつ装置を小型化するため,排ガス温度90℃程度で用いる低低温電気集塵機が多く用いられている。しかし,これまでに行われた研究では,排ガス温度135 – 440℃の温度領域(低温EPおよび高温EP)を対象としており,低低温EPでのHgp挙動について定量的な情報はほとんどない。
 本研究では,10炭種の粒子水銀について低低温EPを備えた大規模微事業用粉炭火力発電プラントを調査した。さらに,5炭種のフライアッシュについて粒径別の粒子水銀分布を調べた。粒径別粒子水銀の定量分析には,グラファイトファーネス固体原子吸光法を新たに適用した。